【気楽に生きる】周りの目を気にし過ぎる「私」へ|進化心理学の視点

随筆
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皆さんは、日頃、自分の外見や言動についてどれくらい気にしていますか?「もっと痩せたい」「この服は似合わないかも」「あの人、私のことをどう思っているんだろう」「失敗したらどうしよう」など、誰しも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。これらの悩みは、私たちが社会の中で生きていく上で、避けて通れないものかもしれません。そして、このことが原因で「生き辛さ」を感じることもあるでしょう。

しかし、これらの悩みは、実は私たちの脳に深く根ざした、ある種の「プログラム」の結果である可能性があります。今回は、進化心理学の視点から、なぜ私たちがこれほどまでに自己評価に敏感になってしまうのか、そして、その悩みから解放され気楽に生きるためのヒントを探っていきたいと思います。

 

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進化心理学が解き明かす「私」に対する評価へのこだわり

進化心理学では、私たちの心の働きは、太古の祖先が生き残るために獲得した適応的なメカニズムの結果であると考えられています。

1)集団からの排除への恐怖
昔の人々にとって、集団から外れることは、食料の確保や身を守る上で大きなリスクでした。そのため、私たちは、集団から受け入れられるために、周囲の評価を気にするように進化したと考えられています。

2)評判の重要性
評判は、社会的な地位や協力関係を築く上で重要な要素でした。良い評判を持つことは、異性との出会いや資源の獲得に有利に働きました。そのため、私たちは、良い評判を得ようと、自分の行動を慎重に選ぶようになったのです。

3)不確実性への備え
予測不可能な環境の中で生き抜くためには、様々な可能性を想定し、それに備えることが必要でした。そのため、私たちは、悪いことが起こる可能性に着目する傾向があるのです。

これらのメカニズムは、かつては生存に不可欠なものでしたが、現代社会においては、必ずしも適応的とは言えなくなってきているのです。

 

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「私」に対する評価へのこだわりがもたらすもの

自分に対する評価へのこだわりは、一見すると、私たちをより良くしようとするモチベーションを与えるように思えます。しかし、度を過ぎると、以下の様な問題を引き起こす可能性があります。

1)不安やストレス
常に周囲の目を気にしていると、不安やストレスを感じやすくなります。

2)自己肯定感の低下
自分のことを否定的に評価し、自己肯定感が低下してしまうことがあります。

3)人間関係の悪化
常に完璧を求めてしまうと、周囲の人を疲れさせてしまい、人間関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。

4)行動の制限
失敗を恐れて、新しいことに挑戦できなくなってしまうことがあります。

 

どうすれば「私」に対する評価へのこだわりから解放されるのか?

では、どのようにすれば、自分に対する評価へのこだわりから解放され、より気楽に生きることができるのでしょうか?

1)進化的な視点を持つ
周りの目を気にし過ぎる(過度に評判を気にする)という自分の悩みが、進化的な背景を持つものであることを理解することで、自分を責めるのをやめ、客観的に自分を見つめることができるようになります。

2)完璧主義をやめる
完璧な人間は存在しません。少しの失敗は、人間らしいものです。
失敗も貴重な体験として受け止め、そこに成功へのヒントが潜んでいると考えてみてはいかがでしょうか。

3)比較をやめる
他人と自分を比較するのはやめ、自分自身の成長に目を向けましょう。
昨日(過去)の自分と今日(現在)の自分を見るのです。

4)自己受容
自分の良いところも悪いところも、すべて含めて自分自身を認めましょう。
一人の人間として、自分で自分を丸ごと受け容れます。

5)家族や友人、専門家の力を借りる
どうしても一人で抱えきれない場合は、家族や友人、カウンセラーやセラピストなど、自分が信頼できる相手に相談してみることも解決手段の一つではないでしょうか。

 

まとめ

周りの人の目を気にして身動きがとれなくなったり、時には自分への評価にこだわってしまったりすることは、決して「私」だけの悩みではありません。評価や評判を気にすることは、ヒトが進化の過程で獲得した自然な反応なのです。しかし、そのこだわりから解放されることで、より豊かな人生を送ることができるでしょう。この記事が、少しでも「私」(=「あなた」)の心の負担を軽くする一助となれば幸いです。

 

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【参考文献】
「進化心理学の展望」長谷川眞理子 科学哲学 34-2(2001)
「進化心理学:理論と実証研究の紹介」平石 界 Cognitive Studies Dec.2000